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HERBIN


HERBIN(エルバン) フランス

 エルバンは1670年、ルイ14世時代にパリで創業した、元々はシーリングワックス(封蝋)の製造所です。創始者のJ.エルバンは船乗りで、インドで買いつけた材料を元に高品質のシーリングワックスを作りだし、やがてそれが大流行し、習慣となっていったそうです。インクもかなり早期から手がけ、1700年には本格的に生産を開始したようですから、相当古い歴史を持ったメーカーです。自然の中の豊かな色のイメージに着想を得たインクは評判を呼び、フランス人が最初に指名するインクはエルバン!というのがナポレオン時代からの伝統だとか。

 と、このようにインクメーカーなのですが、インクを楽しむためのツールとして、カートリッジインクで使用するローラーボール、万年筆、ガラスペンなども販売しています。


コンバーター付き万年筆
ステンレスニブ、嵌合式キャップ、両用式

 エルバンからは3種類の万年筆が発売されており、透明軸のショートサイズカートリッジ専用のもの(Fのみ)、前者よりも胴軸が長く、コンバーターが付属している物(Mのみ)、そしてテンペットという、胴軸に直接インクを入れて使用する物(Mのみ)の3種類です。カートリッジ専用とコンバーター付きは、軸径やデザインは共通で長さが違うだけと思いきや、カートリッジ専用は細字のみ、コンバーター付きは中字のみという、不思議な商品構成です。ほぼ同じデザインのローラーボールは以前から出ていましたが、数年前に万年筆も投入したようです。カートリッジ専用は胴軸がかなり短いのですが、キャップをペン尻に挿せば十分な長さになります。


        エルバン コンバーター付き万年筆 中字

 コンバーター付きはロングサイズのカートリッジも使えますから、お好みで好きな方を使ってくださいという感じでしょうか。コンバーターが付いている万年筆としては最安値ではないかと思います。ほぼ透明軸でインクが透けて見え、カラフルなインクを入れて使うのに適していると思います。肝心な書き味はそんなに良い物でもありませんが、割と実用的で書きやすい万年筆です。海外の中字ですが、思ったより太くなく、国産の中字を少し太くした程度です。エルバンは20色くらいのカートリッジインクを販売していますし、ヨーロッパタイプかつ世界標準規格ですから他メーカーのカートリッジも使用可で、カートリッジ専用でもかなりインクの選択肢が広いですね。もちろんコンバーター付きなら、どのメーカーのインクでも吸入して使えます。万年筆としてはかなり廉価な物ですから、何本も揃えて色々なインクを楽しむというのもありですね。ただ、気密性はそれほど良くなく、若干乾きやすいので、使用頻度の低い方にはお勧めしません。