万年筆は本当に疲れないのか? 万年筆は今、見直されつつあり、趣味の文具として人気があります。人気の理由は何となく格好良いとい うこともあるようですし、文字の表現力が高い、書いた字に味があるということもあるようです。一方、長く筆 記していても疲れないということで、仕事やプライベートを問わず、大量の文字を筆記する人にも人気があり ます。でも、本当に疲れないのでしょうか。 先ず一般的なボールペンは、間違いなく疲れる筆記具です。ペンを紙に押しつけて書くため、長時間の筆 記には向きません。私も今ではA5ノート1ページ程度書いただけで疲れてしまいます(年を取ったせいか、 指の力が持続しない)。その点万年筆ならA4のレポート用紙10枚くらいは平気で書けてしまいますから、 私にとっては確かに疲れないです。 では、筆圧の要らないローラーボールや、最近流行の低粘性油性ボールペンならどうでしょうか。私の場 合、これらを使うと滑りすぎて字が汚くなってしまい、気を遣いながら書くためやはり疲れてしまうのですが、 字が読めるかどうかはこの際関係なく、とにかくローラーボールを使って書いてみると、ボールペンよりは確 かに疲れませんが、それでもA4のレポート用紙3枚くらいで、だいぶ嫌になってきます。筆圧はほとんど掛 けていないのですがこの差は何なのでしょうか。 万年筆が疲れないという一つの要因は、確かに筆圧が要らないことなのですが、私はそれ以上にペンを かなり寝かすことができるという点の方が大きいように思えます。ボールペンの場合、あまり寝かせすぎると ボールを保持しているかしめ部が紙に当たってしまい、インクが上手く乗らなくなりますし、そういう書き方を 続けているとかしめ部が摩耗し、最悪の場合歪んだりボールが脱落するなどの問題が生じます。なので概 ね60度以上の角度でやや立て気味に持って筆記する必要があります。その点はローラーボールや低粘性 油性ボールペンでも同じことです。でも万年筆は45度、あるいはさらに寝かせ、ペンの後ろの部分を親指 の付け根から人差し指の付け根辺りに乗せて書くことができます。乗せることで重さを支えられるので、指 はすごく楽になります。また、首軸を持つよりも、首軸のすぐ後ろ辺りの胴軸を持つともっと楽に書けます。 これがローラーボールや低粘性油性ボールペンとの決定的な違いではないかと思います。もっとも胴軸を 持って書く場合、ペンを握る部分とペンの先端との距離が大きくなり、慣れないと上手くペン先をコントロー ルすることができないのですが、少しずつ慣らしていくと良いと思います。 なので万年筆も、立てて書いたりとか、筆圧を掛けて書いたりすると、やはり疲れます。私の持っている万 年筆の中では、ラミー サファリやシェーファー タラニスなどはペンを立ててある程度筆圧を掛けて書いて もそう簡単に壊れはしませんが、せっかく万年筆を使うのであれば、寝かせて力を抜いて書くことを是非覚 えて下さい。 |