U-Maの音楽館

No.072-080



No.072 冬の華


Moderato scherzando 嬰ハ短調 12/8拍子


<MIDIでお題拝借・第49期投稿作品>


 お題を最初に聴いた際、これをベースラインに使おうか・・・と試みましたが、どうにもこうにも上手くいかず、結局いつものように旋律に取り込みました。けど、マイナー化して遊んでたら結構いけたので、最初はマイナー調で登場します。もちろん元の形でも使っているため、嬰ハ短調と嬰ハ長調が交互に現れ、淋しさと明るさが入り交じります。こういう曲にした結果、お題がこれでもかというほど登場します。最後はニ長調に転じますが、その部分の踊るベースと色を添えるバグパイプが、個人的には気に入っています。

 主旋律はチェンバロが担当し、アレンジも実に私らしく仕上げてます。XG音源かMP3で聴くと、中間部でチェンバロの低音部だけ微妙に音色が変わっているのがお分かりかと思いますが、その辺もちょっとしたこだわりです。チェンバロの演奏って、途中で音を変えたりしますので(バフストップなどを使って)。

 冬の華というタイトルになってますが、実は特にイメージしたものはなく、発表する季節に合わせてでっち上げたものです(爆)。





No.073 夢の扉


Allegro con vigore ト長調 4/4拍子


<MIDIでお題拝借 第50期投稿作品(お題は第11期のもの)>


 最初はお題とは関係なく、さりげない歌として創っていましたが、第11期のお題(第50期はそれまでのどのお題でも可)をブラスセッションで入れたのを切っ掛けに、歌詞をがらりと変え、泣きの嶋田(?)らしからぬ前向きな歌詞に変身してしまいました。その所為というわけでもないのですが、初の「嶋田友馬」名義の歌詞となっています(これまでのは全て「嶋田梨花」名義)。まぁ、同一人物なのでどちらでも良いのですが・・・。

 曲調は最初軽いポップ調ですが、間奏でサックスとブラスが入ってからは、大分雰囲気が変わります。そもそもブラスセッションを入れるのなんて、確か初めてだったような・・・。節目の50期に相応しい曲・・・ということを多少意識した面もありますが・・・。ちなみにこのサックスはMU2000のAlto & Tenor,ブラスセッションはTrumpet & Trombornという、ちょっと特殊な音色を使っています。MU2000では左からアルトサックスとトランペット、右からテナーサックスとトロンボーンが聞こえるのですが、他の音源では中央からテナーサックスとブラスが鳴るだけ。かなり感じが変わってしまうと思います。また、エレキピアノも、正規版(PLG版)はローズ系のビンテージエレピの音を採用しています。



夢の扉(作詞:嶋田友馬)

いつもと変わらない日々を
漠然と過ごす毎日を
時間が無駄に過ぎる

そういえば小さかった頃
色んな夢を描いてた
目が輝いていた

大人になって忘れてしまう
夢をもう一度

心の奥の閉ざされた
夢への扉を開けば
希望の光見える

(間奏)

始まりは誰しも
不安抱え悩むよ
果てしなき未来へ
突き進めば道開ける

さあ、今こそ扉を開けて
夢の彼方へ飛び出そう

以前と違う毎日が
忙しく過ぎていくけれど
心は躍り出す





No.074 蓬莱山


Lento fantastico 変イ長調 3/4拍子


<MIDIでお題拝借・第50期投稿作品(お題は第45期のもの)>


 古代中国では、東海の果てに蓬莱(ほうらい)、方丈(ほうじょう)、瀛州(えいしゅう)という三つの神山があると信じられていました。

 紀元前221年、長き戦国の世を統一し、最初の皇帝となった秦の始皇帝は、その威厳を天下に示すため、各地を巡幸します。東方に巡幸した際、泰山で封禅の儀式を行い(泰山で封禅の儀式を行うと、仙人となり、神と対話ができると信じられていた)、さらに東方へと進み、渤海に出て、始皇帝は生まれて初めて海というものを目にしました。そこから南へと下り、琅邪(ろうや)山へ登りましたが、そこの風景が大層気に入り、三月にわたり滞在したとされています。そして、その際に不思議な光景を見ました。それまで何もなかった海上に突然島影が現れ、やがてその影は薄れ、消えていったのです。今では蜃気楼の一言で片付けられる現象ですが、これを初めて見た始皇帝は、さぞかし驚いたことでしょう。そこに方士の徐福(じょふく)〔徐市(じょふつ)ともいう〕という者が現れ、あれこそ神山の一つ、蓬莱山だと言い、そこには仙人が住むと言う。そこで始皇帝は徐福に、巨万の財宝(仙人への贈り物)を船に積み、蓬莱山に行き、不老不死の妙薬を持ち帰るよう命じました。始皇帝は、永遠の命を求めていたのです。

 しかし、徐福は戻ってきませんでした。一説には日本に辿り着き、日本各地を廻ったとされており、各地に徐福伝説が残っています。中国では徐福が日本で神武天皇になったという話もあるとか・・・。

 余談ではありますが、始皇帝は不老不死に対する執着が強かったようで、薬膳料理や「霊薬」を入れた食事をよく摂っていたそうですが、その「霊薬」というのはかなり怪しい物で、中には水銀化合物もあったようです(水銀は不思議な霊力が宿るとされていたため)。そうした食事が反対に始皇帝の体を蝕み、巡幸中に病死する原因になったという説もあります。

 とまぁ、長々と講釈を垂れましたが、曲はこのような古代ロマンを表現したものでなく、単に蜃気楼が現れ、消えていく様を表現したまでです。三管編成の曲で、私の作品の中では最も大きな編成ですが、全パートの合奏はほんのわずか。全体としては静かな曲で、楽劇の前奏曲のような雰囲気です。

楽器編成
 フルート×3
 オーボエ×3
 クラリネット×3
 ファゴット×3
 ホルン×3
 トランペット×3
 トロンボーン×3
 ハープ
 ティンパニ(A♭)
 小太鼓
 銅鑼
 弦楽五部

なお、MIDI版は銅鑼の代わりにシンバルを使っています(MU2000で銅鑼が見つからなかったため)が、最後の方の一発は省略してます。WMAファイルではGS音源の銅鑼をミックスしてます。





No.075 花模様


Andante affettuoso 変ハ長調 4/4拍子


 たった1日で創りました。曲自体はフルートとハープだけの簡単なものですが、詞が1日、いや、1時間も掛からずにできたのは奇跡的。しかもちゃんと七五調になっているという。実を言うと、少し前に瀧廉太郎の「花」を入力しているうち、自分でも何か創ってみたくなったのです。もっともあの曲と比べられたら恥ずかしい代物です。自分の中では会心の出来なのですが・・・。

 歌は四季の花模様を表しており、第1節が春、第2節が夏、第3節が秋、第4節が冬です。もっとも花でないもの(花火と紅葉)も含まれますが・・・。春は桜と藤、夏は白百合と花火、秋は曼珠沙華と紅葉、冬は山茶花と蕗の薹をそれぞれ歌っています。他にも色々候補があったのですが、日本的なものに絞り込んでいく内に、このような詞になりました。一つ迷ったのは曼珠沙華。正しくは彼岸花なのですが、曼珠沙華の方が風情があるかなぁ、、、と思って、こちらを採用しました。

 曲はハープの伴奏で、ソプラノ独唱の代わりにフルートで演奏しています。4節の歌曲ですが、単純に4回繰り返すだけでなく、伴奏は変化していきますし、歌の旋律も微妙に変わります。

 なお、ご存じかと思いますが、作詞者と作曲者は同一人物です(^_^;)



花模様(作詞:嶋田梨花)

1(春)
   春の川辺は 花模様
   心浮き立つ 淡き色

   甘い香りが 包みこむ
   うす紫の 藤棚を

2(夏)
   夏の里山 秘やかに
   美しく咲く 白百合よ

   宵の空には 艶やかに
   光の花が 咲き乱れ

3(秋)
   秋の畦道 燃えるよに
   稲穂彩る 曼珠沙華

   やがて遠くの 山肌は
   赤や黄色の 衣着る

4(冬)
   冬の庭先 木枯らしに
   耐えて花咲く 山茶花や

   雪の下には 蕗の薹
   じきに辺りは 春模様





No.076 オーボエ・ダモーレと弦楽のための哀歌


Lento elegiaco - dolcemente 嬰ハ短調 4/4拍子


<MIDIでお題拝借 第51期投稿作品>


 今回のお題は私にとって最難関だったと思います。とにかくリズムが取りにくかったので、音の並びだけ頂いて、リズムは少し変えました。その旋律が哀愁を帯びた感じだったので、こういう曲に。

 久々に偽バロック音楽です。伴奏は終止ゆったりと四分音符で刻み、オーボエダモーレが憂鬱な旋律を奏でます。楽器編成はオーボエダモーレ、ヴァイオリン1,2、ヴィオラに通奏低音(チェロ、コントラバス、チェンバロ)ですが、全般的に雰囲気のみを似させているだけなので、バロック音楽のファンからはお叱りを受ける・・・かも。

 私は通常、第1ヴァイオリンを左、第2ヴァイオリンを右に配置していますが、この曲は音が高い方から順に配置しています。また、小編成合奏ではコントラバスは一人の場合が多いので、ストリングスではなくコントラバスの音色を使いました。

 最初はコール・アングレーをソロ楽器とし、ニ短調で作り始めたのですが、途中でバロック時代の遺物・オーボエ・ダモーレに変更し、F管からA管に替わるため、調も嬰ハ短調に変更しました。問題はオーボエダモーレの音ですが、コール・アングレーにオーボエを重ねて、それらしい音を作りました。なお、オーボエダモーレ(Oboe d'amore)は、オーボエよりも三度低い音を出す楽器で、名前の通り、オーボエよりも甘い音を奏でます。また、朝顔(楽器の下端部分)はコール・アングレー同様、洋梨型に丸くふくらんでいます。





No.078 レミちゃんの宝箱


Allegro giocoso 変ニ長調 4分の4拍子


<MIDIでお題拝借 第52期投稿作品>


 レミちゃんのオルゴール付きの小さな宝箱。フタを開けるとオルゴールの音色と共に、たくさんの夢が飛び出してきます。中に入っているのはたわいもないものですが、子供にとってはきっと、夢がいっぱい詰まっているのでしょうね。そんなものを表現してみました。

 まずお題をオルゴールで鳴らし、さて、続きをどうしようか・・・と考えている内に浮かんできたのが割とお茶目な旋律。いつもの管楽器ではなじまないし、ギターも何となくしっくり来ない。オルゴールではうるさすぎなので、他の音色をあれこれ試している内、ヴィブラフォンが一番良かったので採用しました。オルゴールは左右で忙しなく動いています。これにホイッスルやCuicaなども加わり、さらにクラリネットとバリトンサックスがあり得ない事を。もっともこれらには何か意味があるわけでなく、面白い音を加えてみたに過ぎません。

 MIDIを再生する際に問題となるのはギターの音色。Clean Guitarのカテゴリーですが、やや歪みの入った独特の音色を使っているため、異なる音源で鳴らすと、ギターが埋もれてしまいます。

 ちなみにレミちゃんってのは、ドレミファソラシの音階から適当に付けた女の子の名前です。





No.079 粉雪の舞い


Allegretto lievemento ニ長調 8分の6拍子


 とても寒い日、窓の外は粉雪。こんな日は暖かい部屋で、粉雪の舞いを眺めましょうか。

 東京はあまり雪が降らないですし、降っても大抵は湿った雪。粉雪が降ることはほとんどありません。見てみたい気もしますが、外は相当寒そう。やっぱ遠慮しておきましょうか。

 以前創った「秋風のミュゼット」とほぼ同時期に創り始めたのですが、似た雰囲気の曲が続くのを嫌い、後回しにしていました。最初は特に何のイメージもなかったのですが、チェンバロのキラキラした音から粉雪を連想し、それ以降は文頭で書いた風景を思い浮かべながら創りました。楽器の編成はチェンバロ、ベース、ふにゃふにゃエレピ(嶋田独特の)と、非常にシンプル。ドラムス&パーカッション類は、最後の最後に入れました。

 GSではチェンバロが間延びしてしまいますし、ふにゃふにゃエレピもXG独特の音がベースですので、XG以外の方にはWMAをお勧めします。





No.080 小川のせせらぎ(ハンマークラヴィアのための小品イ長調)


Moderato scherzando イ長調 3/4 − 2/4拍子


<MIDIでお題拝借・第53期投稿作品>


 今回は時期的に部屋探し、引っ越しとその後処理が重なったため、あまり時間が取れず、作りかけの曲にお題を乗せるという安全策を採りました。3/4拍子の部分はその時既にほぼできていて、お題を使った2/4拍子の部分を創り、繋ぎの部分をくっつけ、最終的にテンポや強弱を調整して出来上がり。半ば行き詰まっていた曲を無理やり完成に持っていったような物です。もっとも私のことですから、放って置いたらいつ完成するか分かったものではありませんから、かえって良い機会だったのかもしれません。

 曲は小川が流れる風景を音で表したもので、特に凝った作品ではないですが、私らしい表情を持った曲です。音源の機能を活用し、ハーフペダルを多用して創ったのですが、音源を変えて再生したら響きが強すぎてとても聴けた物でなく・・・。リバーブを浅くしたりして何とか対応しましたが、MIDI版はあまりお勧めいたしませんm(_ _)m