Naturarhythm
<Naturarhythm>はNaturalとrhythmをくっつけた造語で、自然のリズムという意味です。片仮名で表記すると、”自然主義(naturalism)”と誤解されてしまうため、アルファベット表記しております。曲の形式としては8分の12拍子または4分の4拍子のゆったりとした3部形式で、自然あるいはそれを連想させるものをテーマとした標題音楽です。「慌ただしく過ぎてゆく時の流れから離れ、しばしの安らぎを」がコンセプト。音色は何を使っても構いません。
No.005b Naturarhythm第1番ホ長調「ウォーターフォール」
Andante grazioso ホ長調 8分の12拍子
この作品の元となっているのは、私の初回投稿作品です。2001年12月、Singer Song Writerのホームページに初めて投稿する際、顔見せ程度にさっと作った曲で、中途半端な形で終わっていたのを、最後まで完成させたものですね。その際に伴奏のパートを、Music Box主体からDulcimer主体に変更し、さらに低音弦を追加して、音にふくらみを持たせました。この曲は伴奏が重要で、主旋律は伴奏の邪魔をしない程度に乗せているだけです。雨の情景や水の滴る音、水鳥の優雅な姿などをイメージしている曲で、タイトルは水が滴るという意味でのWater Fallと、水鳥(Waterfowl)を掛けているもので、瀧という意味ではありません。
MU2000版は以前のイメージを残しつつ、後半部で音を少し増やしました。
2010年版は、表情を付け、テンポのゆれを少しだけ付けています。
No.010 Naturarhythm第2番ニ長調「妖精の詩」
Andante misterioso ニ長調 8分の12拍子
2002年4月に完成した作品で、癒しの傑作です。第1番は改作なので、実質的にNaturarhythmシリーズ第1弾はこの曲。最初から森のイメージでいこうと決めてましたが、「森の情景」とかでは在り来たりなので、「妖精の詩」という魅力的なタイトルを付けてみました。木々のざわめきを表現した弦の伴奏に乗り、ゆったりと落ち着いた旋律が奏でられます。またこの作品では、弦以外のDulcimer , Bowed Pad , Honky-tonk Piano , Choir Padといった音色を、極めて効果的に使っていると自負しております。Honky-tonkなんて、本来はすごくお茶目な音なんですが、こうして使ってみるとすごく味があるなって感じます。Choir Pad(コーラスの代用)も、終わり直前で入る部分は、私にはものすごく切なく聞こえます。まるで「私たちの森を壊さないで」と訴えかけているように。ただ、ちょっと失敗したかな(?)とも思いますね。最初からこれだけの作品を作ってしまったので、第3番以降の創作に、非常に苦心しているところです(^o^) 。
2006年改訂版は表情を付け直すとともに、Dual版としてMU15のChoir Padを使いました。一度は妥協してChoirAahで代用したのですが、やっぱChoir Padの方がお気に入りです。でもこの音色、MU2000のを使うと変な感じになるので・・・。これで雰囲気はより初版(AC-XG版)に近づいたかな。なお、MU2000版(MIDIファイル)は引き続きChoir Aahを使ってます。
No.007c Naturarhythm第3番ヘ長調「花のくに」
Moderato con grazia ヘ長調 4分の4拍子
第2番ニ長調「妖精の詩」の完成から1年以上経ってますが、このシリーズは私のライフワークとして、作曲活動への意欲を失わない限りは、ずっと続けていきたいですね。去年の今頃(2002年6月)には大部分出来ていたのですが、他の作品に時間をとられたりしましたし、私にとって第2番の出来が良すぎたので、自分の中で納得できない部分もあって、ここまでずれ込んでしまいました。本当は2002年の秋に出したかったんですけどね。
第3番は「メルヘン Version 2」のNaturarhytum版ですが、そもそもこの曲は100万本の秋桜が風に揺れる光景を見て作曲したものですから、「花のくに」というイメージにピッタリかと思います。ちなみにこのタイトルは、コスモスを見に行った場所そのものの名前だったりして・・・。基本的にはクラシカルポップスナンバーの「メルヘン Version 2」を踏襲しておりますが、弦と木管を中心とした編成に直し、ほぼクラシック的な作品となっております。そして、Naturarhythmの定型に沿って、中間部を追加しました。主部はヘ長調、中間部は変ロ長調ですが、再現部はニ長調で、その点がごく普通の三部形式とは異なります(ただし、最後はヘ長調で終わります)。涼しげな秋風にゆらゆらと揺れるピンクや黄色の花、そんな光景を思い浮かべて下されば幸いです。
2010年版は全体に抑揚を付け、中間部のヴィオラのパートでリズムがおかしかったところを直し、さらに間合いを取ったため、演奏時間が4秒ほど長くなっています。PLG版はピアノの音色も変えており、一応こちらが公式版です。
No.043 Naturarhythm第4番嬰ハ短調「大地の詩」
Adagio maestoso - Andantino pastrale - tempo I 嬰ハ短調 4/4−12/8拍子
<MIDIでお題拝借・第32期投稿作品>
第3番を発表したのが2年前。ところがその第3番は自作のアレンジであり、第1番も改作であるため、生粋のNaturarhythmシリーズはこれまで第2番のみ。その第2番からは実に3年もの時を経ております。私のライフワークとか言っておきながら、いくつか着手したものの、なかなか進まないのが現状です。私の中では第2番が傑作なので、これに匹敵するものはなかなか絞り出せないし、また、少なくとも第2番に並ぶものでなければ納得できないという側面もあります。まぁ、このシリーズに対しては非常に思い入れがあるということですね。別に売りものでもないし、もそっと気楽に構えればいいのかもしれないですが、やはり私なりのこだわりがあり、納得できる水準が他よりも高いのは事実です。
第32期のお題は、人によってはものすごく苦労したと思いますが、私にはむしろ、非常にやりやすかったです。聴いた瞬間に、最初のカノン風の展開が浮かんできました。このお題からこの展開というのはごく自然で、正攻法な曲作りができたと思います。自分で言うのも変ですが、この深遠な展開から何となく自然の目覚めを感じ、「大地の詩」という標題を与えました。Naturarhythmに組み入れたのは、自然がテーマであること、途中の段階で満足できそうな物になると予感したこと、そして中間部の展開を閃いたことによります。最後のは関係なさそうですが、Naturarhythmには三部形式という縛りがありますから、これが浮かばなければただの「大地の詩」であり、Naturarhythm第4番「大地の詩」ではないのです。ここら辺もまた、作者としてのこだわりですが、ある意味では自分で作った縛りに悩まされているとも言えます。その中間部は、小鳥や小動物が戯れる様を表し、同時に収穫祭の情景でもあります。しかしこれもまた、自然の恵みがあってこそですね。
楽器編成はいつもの木管二管・金管三管に、タンバリンが加わります。このシリーズで完全なオーケストラ編成なのはこれが初めてです(第3番にはPadが入っているので)。それにしても私、♯がいっぱい付いたの大好きだから、管楽器泣かせかもしれないね。クラリネットはA管を使うからいいんだけど・・・。
No.053 Naturarhythm第5番嬰ハ短調「月光」
Lento - Andante grazioso - Lento 嬰ハ短調 12/8−4/4拍子
第2番とほぼ同時期に創り始めた曲なのですが、長いこと放置され、ようやく完成しました。放置されていた理由は、旋律がどこかで聴いたような気がして・・・。けど、思い過ごしかもしれないし、気にしてたら何も創れないので合間を見て少しずつ作り続け、やっと日の目を見たわけです。
曲全体を通じて、AmbiGrndというピアノが主役で、中間部から主部へと戻る前にはカデンツァも挿入してみました。このシリーズとしては新しい試みです。他にはパッド 、トレモロストリングス、チェレスタ、ベース、さらにエレピを補助的に使い、後半部にはフルートとオーボエも追加してみました。内容的にはクラシカルな曲ですが、独特の演奏効果を持った音色を組み合わせることで、幻想的な雰囲気を作ってみました。
曲の最後の部分で、ある名曲の断片が奏でられます。ただ、これは完成間近になって思いついたもので、曲が同じ嬰ハ短調になっているのは偶然です。最初からその曲を意識して創ったわけではありません。
No.071 Naturarhythm第6番ホ長調「森の雫」
Andante garbatamente ホ長調 4/4−12/8拍子
<MIDIでお題拝借 第48期投稿作品>
森に降った雨が豊かな土壌に蓄えられ、少しずつ滲み出て滴り落ちる。それが集まって小さな沢となり、いくつもの沢が合流して小さな川となる。急流を下って平地に出ると、さらに合流して大きな川となり海に注ぐ。
序盤は滴が集まり、沢となり、山を下っていく様子を、中間部は大きな川となり流れていく様子を表しました。後半はまた滴が落ちるところからスタートし、静かに曲を閉じます。最初は穏やかなヒーリング系で創っていましたが、中間部は金管を派手に鳴らしちゃいました。
お題はピアノソロ、しかも高音部で、他の音と重なり合うことなく出現します。何故こうしたかと言いますと・・・他に使う手段が見つからなかっただけで(爆)。曲自体は会心の作ですが、お題はほぼそのまま、無理やり詰め込んだ感じですから、お題曲としての出来は良いとは言えませんね。今回のお題は本当に使いにくかったです。
この曲ではこれまで使ってきたリバーブタイプ、残響時間の設定に加え、イニシャルディレイとドライ/ウエットバランスも追加してみました。これにより透明感や水のイメージを強調しています。
No.077 Naturarhythm第7番変ニ長調「Die Grasebene(草原)」
Andante tranquillo 変ニ長調 4/4拍子
前作(第6番)の続編みたいな雰囲気ですが、前作ほど劇的でなく、草原を吹く風をさらりと表現してみました。弦に雰囲気の似たOdin(Sci-Fi),Warm Padをバックにオーボエ、クラリネット(A管)が旋律を奏で、ピアノが色を添えます。途中、オーボエをオカリナに変更しようかと迷いましたが、既にオーボエ用にエクスプレッションを調整していたことと、個人的にオーボエの音が好きなので、そのままにしました。曲はシリーズの定型に従い、三部形式で、主部は変ニ長調、中間部は変ト長調です。中間部はある和声をそのまま使ってますが、最初から意識したものではなく、旋律に和音を付けていったら、たまたまこれにぴったり合ったのです。再現部は主部とほぼ同じですが、オーボエをコールアングレーに持ち替え、クラリネットの低音を利かせています。特に凝った作品ではなく、嶋田らしくシンプルな構成です。
No.100 Naturarhythm第8番イ長調「アステリズム」
Maestoso イ長調 4/4拍子
<MIDIでお題拝借 第69期投稿作品>
私のオリジナル作品100曲目となる、記念すべき曲です。
アステリズム(星群)とは、複数の明るい恒星が天球上に形作る図形パターンのこと。広い意味では星座もアステリズムと言えますが、普通は区別して扱われます。北斗七星や北十字(はくちょう座α、β、γ、δ、ε星)、オリオンの三つ星、春・夏・冬の大三角形など、多くの例があります(南十字は星座そのものなので、一般にはアステリズムとは言わないが、ほ座・りゅうこつ座にまたがるニセ十字はアステリズムの例である)。東京では3等星程度までしか肉眼では見えないので、星座そのものよりも、こうしたアステリズムを探すのが晴れた夜の楽しみだったりします。
この曲は星座にまつわる神話などにとらわれず、夜空の星から受けたインスピレーションを自由に書き綴ったものです。Naturarhythm の4番目の曲として創り始めたにもかかわらず、相当長いこと放置されていた曲ですが、69期のお題曲がちょうど100曲目なので、これをよい機会ととらえ、改めて着手しました。出だしの部分はほぼ同じ(流星のような下降音型は削除)ですが、続くファンファーレ(お題部分)は全く別の音型だったのです。
Naturarhythmには、自然がテーマ、ゆったり、4分の4拍子か8分の12拍子、3部形式という縛りを与えているのですが、この曲は少々定型から離れ、[A-B]-[C-D]-[B-A]という変則的な形式です。一応主部と再現部がイ長調、中間部がニ長調となっていて、3部形式らしき体裁は保っていますが、再現部では劇的なファンファーレを最後にもっていきたかったので、AとBが逆になっているのです。中間部はもっと刺激的な和音を入れたかったのですが、結局こんな感じになってしまいました。でも、私らしさは十分に出せたのではないかと思っています。
この曲の音源は、YAMAHA MU2000、PLG-150PFに、Roland SC-D70(銅鑼のみ)です。一応XG用のMIDIはアップしますが、WMAでお聴きいただければと思います。