U-Maの音楽館

No.041-050



No.041 古風な舞曲ニ長調


Andante ニ長調 3/4拍子


<MIDIでお題拝借・第31期投稿作品>


 オーボエとアコースティックギターだけのシンプルな作品で、短いながらもとても上品な曲です。けど、作者はお世辞にも上品とは言えないなぁ(笑)。

 旋律はシチリアーナをちょっとだけ意識してますが、古風な舞曲という名の通り、ちょっと古めかしい感じです。しかし現在ではむしろ新鮮なのかもしれませんね。

 そもそもこれを作り始めたのはEDIROL SD-20を手に入れて適当に使っている内、魅力的なオーボエの音色を見つけたのがきっかけです。伴奏は最初、Nylonギター(リュートの代用)だったのですが、どうもスチールギターの方が合っているかな? と思って、途中で変更しました。お題は3拍子に変形してますので、元のイメージとはだいぶ違うかも。少なくとも「銀河急行」と兄弟曲であるとは、とても信じられませんね。





恋する二人


Allegro capriccioso 変ホ長調 4/4拍子


 この作品のメロディーは私が作ったものではなく、私のこれまでの作品を元に、Singer Song Writerのメロディー作成機能で作ったものです。私のメロディーの特徴が抽出されているのでしょうが、こんなメロディー、作った覚えないよ(^_^;) でも気に入ったので採用しました。そのためこの曲も公式なオリジナル作品には数えておりませんので、通し番号はありません。


 アレンジはポップ風で、エレピ×3とシンセベース、ドラムス。それに乗ってソプラノサックスとアルトサックスがデュエットを奏でます。昔サックスを吹いていたくせに、今までほとんど使ってなかったので、ちょっと気合い入れました。吹き上がりでピッチやエクスプレッションを変化させ、全体に軽くビブラートをかけてます。もっとエクスプレッションを変化させた方がサックスらしいのですが、あまりやるといやらしくなってしまうので、この程度にとどめました。リバーブタイプは中ホールで、残響を少しだけ長くしております。


 基本的には同じパターンを二度繰り返しているだけの単純な曲ですが、変ホ長調なのにE7で始まるイントロは、ちょっとお気に入りですね。タイトルはもちろん、2本のサックスの息の合ったデュエット(そのように作っているのだから当たり前ですね)と、アレンジの雰囲気から名付けました。えっ? ソプラノとアルトでは女同士ですって? そのような突っ込みはしないように。テナーを使って始めたのですが、しっくりこなかったのでアルトに変えたんです(^_^;)


 Dualヴァージョンは元のファイルからエレピ3パート以外をEDIROL SD-20に移し、音量のバランスを変更しました。また、ドラムスはElectric Setに変更し、各楽器のバランスを調整してます。たったそれだけなのですが、かなり違った雰囲気になりました。






No.042 Kanpurの市場にて


Allegro 4/4拍子


<MIDIでお題拝借・第32期投稿作品>


 Kanpur(カーンプル)は、デリーの南東約400km、インド中北部にある都市の名前です。ちなみに行ったことも見たこともありません(爆)。何しろパスポートも持ってないし・・・。インドは行ってみたいんですけどね、1ヶ月くらい(をいをい)。

 インド音楽大好きで、こんなもの作りました。Kanpurはインドの地図を見て、北インド近辺から適当に選びました。北インドにこだわったのは、シタールが北インドの楽器だから。そんなですから、あくまでもイメージの産物です(インドの方、ごめんなさい)。使用している楽器はシタール×2、タンプーラ(もどき)とドラムス&パーカッションだけ。ベースは使わず、タンプーラのドローン音が全てのベースとなっています。

 シタールはインドの楽器としては割とポピュラーですし、故ジョージ・ハリスン氏が積極的に使ったため、幅広く知られるようになりました。そもそも私がインド音楽を好きになったのも、彼の影響なのです。夕顔や南瓜の実を胴とする弦楽器で、弦は20本ほど。その内の7本が演奏弦で、13本が共鳴弦というのが一般的なようです。全ての弦のブリッジには弦にかすかに触れている部分があり、これがビヨ〜ンっていう独特の響きを出しているみたいです。本来インド音楽の基調となる音はC#で、洋楽器などと合わせる場合はDを基調とするようです。でもこの曲はF・・・

 タンプーラもビートル時代に使われてましたから、ビートルズ好きの人は聴いたことがあるはずですが、楽器としてあまりメジャーではないですね。木製の4〜6弦の弦楽器で、フレットがなく開放弦だけで演奏するという特徴的な楽器なのです。調弦の基本はファ - ド↑ - ド↑ - ド↓などとするようですが、これも完全に決まったものではなさそうで、この曲でもC - E - F↑ - F↓という自己流調弦にしています。この4本(ないし6本)の弦を順番に弾く。口で言うと非常に簡単な楽器なのですが、それをうまくドローン音にするのは、なかなか難しいようです。我々が(CDなどで)聴くインド音楽には必ずと言っていいほど使われますが、そもそもは声楽家が基準音を知るために使った物らしく、器楽合奏では使われないこともあるようです。

 そしてインドで最も重要な楽器がタブラ・バヤ。木の胴に山羊の皮を張った小さな太鼓(タブラ)と、金属胴に羊の皮を張った大きな太鼓(バヤ)を組み合わせて叩くもので、これがリズムを奏でます。リズムにはターラ・ティーンタールとか、ターラ・ファロダストなどといった基本的なパターンがあるようなのですが、残念ながらあまりよく分かっていないというのが現状です。

 シタールの音はちゃんとGMの中にありますから、プリセットのまま使ってます。問題はタンプーラとタブラ・バヤ。タンプーラは共にアタックをずらしたシタールとヴァイオリンを重ね、さらにヴァイオリンはModulationをかけ、ピアノのペダルを踏みっぱなしにする要領で、常に音が持続するように作りました。まだまだ本物の感じからは遠いと思いますが、独特のうにゅうにゅ感は出せたと思います。タブラ・バヤは音を作るのも難しそうだし、せっかく作ってもターラをちゃんと理解しなければ無駄ですから、いっそのこと普通のパーカッションと普通のリズムで代用してしまいました。





No.044 Wonder Perfume


Allegretto capriccioso ヘ長調 4/4拍子


<MIDIでお題拝借・第33期投稿作品>


 私がボサノバなんて珍しいですねぇ。のっけからベースにお題が登場しますが、テンポは提示されたお題のちょうど半分です。そもそも今回のお題は少し難しいなぁ・・と思いつつ、調やテンポを変えながら何度も聞いているうち、半分くらいのテンポにすると、何となくけだるくてボサノバっぽいかなぁ・・と閃きました。その日はひたすら打ち込み、一日で3分の1ほど打ってしまったという。思いついたときにしておかないと、せっかくのイメージを忘れちゃうから。

 コード進行とかはかなり変だと思います。だって自己流だもん。特に最初のベースソロの部分では、微妙な線を狙ってみたので・・・。それでもHumming of the birdsよりはひねったコードも使っていて、多少はボサノバらしくなっているかな。ギターも同じようなリズムを繰り返しているような感じですが、一応ストロークは均一ではなく、わざとばらつかせております。





No.045 Streichquartett E-dur

弦楽四重奏曲ホ長調


第1楽章:Adagio - Allegro con brio ホ長調 4/4拍子(ソナタ形式)
第2楽章:Andante cantabile - Adagietto elegiaco - Adagio molto - tempo I イ長調 4/4拍子(三部形式)
第3楽章:Allegretto con anima - Moderato con grazia - tempo I ロ短調 3/4拍子(複合三部形式)
第4楽章:Adagio - Allegro con brio - Moderato - tempo I ホ長調 2/4拍子(ロンド形式)

<MIDIでお題拝借・第24期投稿作品(第2楽章)>


 ついにこれに手を染めたって感じです。たった四つの弦楽器によって奏でられる弦楽四重奏は、単純なようで非常に奥が深いです。絶対音楽ですから特に何を表しているということはありませんが、嶋田の精神世界が垣間見られるような作品ではありますね。もちろんこれで終わりというわけではなく、機会があれば第2番、第3番へと続けていきたいと思います(次が出来たらこの曲は自動的に弦楽四重奏曲第1番になります)。

 第3楽章は真っ先に完成し、最終的にもほとんど手直ししておりません。第2楽章はお題の締め切りが3ヶ月なので、急造した面は否めません(今回手直ししました)が、逆に言えばこの2つは3ヶ月できっちりできているのです。しかし全体の完成は着手から2年半。ここまで時間がかかったのは、第1には第1楽章を何とかソナタと言い張れる程度のものにしたかったこと、第2には全体を締める第4楽章がなかなか浮かばなかったことにあります。途中何度か挫折しそうになり、できた部分だけ「弦楽のためのアンダンテ イ長調」と「弦楽のためのスケルツォ ロ短調」として発表したくもなりましたが、何とか最後まで辿り着くことができました。

第1楽章
 ゆったりと流れるような序奏が2回奏でられ、経過句を経て主部へとつながります。主部は典型的なソナタ形式で、主題提示部は溌剌とした第1主題と流れるような第2主題で構成され、第2主題が属調(この曲ではロ長調)で奏でられるも、ソナタ形式の通例に従っています。展開部で両主題が展開された後、再現部へと続きます。主題再現部は基本的に提示部と同じですが、第2主題を主調で演奏させるのに手こずり、何度も変更したあげく、この形に収まりました。ここら辺の処理については、より勉強が必要ですね。終結部では第1主題を4パートがそれぞれ断片的に奏でながら終わります。

第2楽章
 全てはここから始まりました。HIRO-AKIRAさん主催の「MIDIでお題拝借」第24期のお題(sumikaさん作)を聴いた途端、中間部のお題を使った部分がひらめきました。そこから弦楽のためのアンダンテに発展し、最終的には(しかもかなり短時間のうちに)4つの楽章を備えた弦楽四重奏曲という形へと構想が膨らんでいったのです。しかしさすがにこれだけのものを3ヶ月で創作するのは、当時の私には不可能で、2楽章はお題の締め切りに何とか間に合わせ、全曲の完成は宿題としました。

 主要主題は2002年の夏頃作ったものですが、イメージが発展せずにボツにしたものです。この主題はイ長調で、明るく流れるような旋律です。一方中間部は嬰ヘ短調で、陰鬱な雰囲気が支配的です。この部分はお聴きの通り、シューベルトの弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」を強く意識しております。お題は3'50"あたりで登場しますが、十二音技法による癖のあるお題ですね。お題の後は少しずつ光が差し込み、やがて主要主題が短く再現され、終わります。

第3楽章
 ベートーヴェンの様式に忠実なスケルツォで、当然のごとく複合三部形式を取ります。スケルツォは私の最も得意とするところで、私らしく、厳格な形式の中に、旋律的な美しさを織り込んだ、魅力的な小品に仕上がったと自負しております。特にトリオはスケルツォでありながら、原点であるメヌエットのような優雅さを表現できたと思ってます。一応この楽章はロ短調なのですが、ほとんどニ長調が支配しておりますので、明るく爽やかな感じになってます。

第4楽章
 何と言ってもここが一番苦労しました。序奏を伴ったロンドで、序奏はホ短調、主部はホ長調です。溌剌としたロンドの主題は、第1,第2ヴァイオリンが絡み合うように進行します。続く第1副主題は嬰ハ短調で、愁いを含んだ旋律です。これが第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラへと引き継がれ、主題へと導かれますが、ここでは主題が嬰ハ長調で現れます。第2副主題はずっとテンポを落とし、淡々と進行します。経過句を経て、再び主題を奏で、短いコーダにて曲を閉じます。





No.046 A Silly Gangster


<MIDIでお題拝借第34期投稿作品>


 お題の雰囲気から、今回はハードボイルドもの・・・と思って始めたのですが、途中からコミカル路線へと変更になりました(爆)。タイトルは「間抜けなギャング(の一員)」。どこかに忍び込んだまではいいのですが、きっとドジを踏んでしまったのでしょう。警報が鳴り響き、追われる羽目に。一度は上手く播いたのですが、どうやら犬の尻尾をふんずけてしまったらしく、また追われます。しかも今度は機関銃で狙われ、挙げ句の果てにはヘリからミサイルを撃ち込まれる始末。このお間抜けさんは、一体何をしでかしたのでしょう? 私の予想では、目的の”ブツ”と間違えて、ア○リカ合衆国最大の国家機密を盗んでしまったと睨んでいるのですが。重大な国家機密って? B大統領がバカだという決定的な証拠ヨン♪。あっ! だったらそんなものとっくに周知の事実なんだから、こんなに追われたりはしないか o((*^▽^*))o

 およそ10種類の効果音を使っており、その多くはXGバンクのSFXですから、この曲はXG対応の音源でなければまともに再生できません。SDシリーズはXG-lite対応なのでOK。SC-8820とかも大丈夫なはずですが、VSCはアウトです。まともに再生できない場合はWMAでどうぞ♪ まともな曲ではないですが・・・





No.047 爽やかな朝に


Allegro moderato e tranquillo ニ長調 4/4拍子


 名作(迷作?)「生きていることが」からもう2年も経っちゃったんですね。超久しぶりの歌ものです。正確に言うと歌らしき曲のイメージは出てくるのですが、肝心な歌詞が浮かばなくて・・・。文才がないのに無理やり絞り出してきたのですが、元々埋蔵量が少ない上に、掘り尽くしてしまって枯渇状態・・・なのかな? 今回のも曲とアレンジはなかなか気に入っているのですが詞の出来は・・・。まぁ、「冬の岬」とか「生きていることが」は奇跡だと思っていただければ・・・。何となく旋律が浮かんで、アレンジの雰囲気もこんな感じかな・・・ってな風に始めたので、詞はほぼ後付です。雰囲気が似ているので「Pure」の続編にしようかなとも思ったのですが、もはやあんな歯の浮くような歌詞は無理ですねぇ。それで思案したあげく、こんな詞になってしまいました。

 こんな詞を書いてしまいましたが、本当の私はというと・・・最近の目覚まし時計は「あと5分」機能が付いていて便利ですねぇ。以前は寝覚めがすごく悪くて、ずいぶんお世話になりました(この詞とはほど遠い)。8時過ぎにようやく起きて、朝ご飯も食べずに出勤(それでも原チャリとか自転車なら十分間に合った)なんて当たり前だったけど、今は目覚ましなんかかけなくても6時前には起きてしまう。年取ると早起きになるってのは本当だったんだね。ってな訳で、最近はずいぶん早い時間に家を出て、駅から会社までかなり大回りをして歩いています。小さな森の脇の道なので、この季節はウグイスの可愛い鳴き声が聞こえてきたりします。それが朝の楽しみかな?

 ヴォーカルは2本のギターで代用。ダブルトラックの独りハーモニーを想定して作ってます。バッキングはいつもの「さわやか嶋田流」ですが、ギターの刻み方に少し進歩が見られるかも。しかしコード進行は相変わらず変ですねぇ(爆)。サビからAメロに戻るところ、本来セカンダリードミナントのはずのE7から、ドミナントのA7を通さずに、いきなりトニックのDへと進行しちゃいます。相変わらずの自己流ですね。ここの部分は変な感じに聞こえるかもね。



歌詞(作詞:嶋田梨花)

1:
 何となく気だるい 暖かな朝に
 早く目覚めよと 小鳥たちが鳴く

 焼きたてのブレッド 淹れたてのコーヒー
 素敵な香りが 部屋にあふれ出す

 冷たい水で 心引き締めて
 鏡の前で 服を選ぶ

 忙しく過ぎてく 毎日の中で
 そんな一時が 大切な時間

2:
 光に溢れた 朝の街路樹を
 爽やかな風が 通り過ぎてゆく

 道行く人の 波に呑まれずに
 私の道を 歩いてゆく

 朝の輝きを 胸に吸い込めば
 心の迷いも 晴れ渡ってゆく

 光に溢れた 爽やかな朝
 心晴れやかに 今日も元気





No.048 Ciesta


Moderato tranquillo ニ長調 4/4拍子


 まったりとしたボサノバ・・のつもりで始めたのですが、終わってみればもはやボサノバにあらずです。ソロ楽器がオーボエというところがオーボエ大好きの嶋田らしいですね。オーボエを使うとちょっとクラシカルな、上品な響きになります。まるで私みたいに・・・(ウソです)。曲名はスペイン語(だったかな?)で休息という意味。これを聴きながらコーヒーブレイクなどいかが? 嶋田も縁側で猫でもなでながらお饅頭と渋ーい番茶でも(お〜い)。

 バックはドラムス&パーカッション、ウッドベース、アコースティックギター、エレピ2台ですが、エレピの1台はプラグインボードの音を使ってます。そしてもう1台は、「光と影」で見せた「ふんにゃかエレピ」です。これは元々デチューンされているChor.EP1という音のアタックタイムを後ろにずらしたものですが、今回はさらにエクスプレッションを波打たせ、ビブラートをかけてみました。ちょっと面白い効果を狙ってみたのですがいかがでしょう?

 コード進行は相変わらずの嶋田流です。途中、嶋田流でよく見られる二段ドミナントが現れますが、A7♭5→A7、A7→Aaug7という、2つのパターンを使ってます。この7♭5って、SSWの和音入力でも出てこないし、コード名の入力でも却下されます(7b5や7-5としても同じ)。普通はあまり使わないのかなぁ? 





No.049 交響組曲「西方見聞録」


 遙か昔、とある国の都。中心には巨大な宮殿があり、町の至る処に役人や豪商の大邸宅が建ち並び、寺院には巨大な黄金の神像が鎮座する。中央の通りには市場がたち、多くの人でごった返す。しかし一方では貧困層の増加や治安の悪化、汚職の蔓延、世襲制の弊害など、制度は疲弊し、不平不満が渦巻き、人を出し抜き、欺くことが平然と行われていた。

 そんな都に嫌気が差した若者達がいた。皆下級役人の息子達で、父の跡を継いで適当に勤めていれば食うには困らなが、そんな生き方に何の意味があるのか。しかし、何をしたところで社会は変わらない。結局集まっては酒を飲み、愚痴をこぼす毎日であった。

 そんな折、仲間の一人が家の書庫から古い書物を見つけた。「西方見聞録」というその書の中の一文に、「遙か西、広大な砂漠を越え、険しい山々を越えた先に、光り輝く美しい町がある」とあった。光り輝く町とは? この都以上に煌びやかな町があるのか? 若者達は皆、興味を示した。都にいても行く末は決まっている。ならば・・・ということで、若者達は西を目指して旅立つことを決意した。

楽器編成

  フルート×2,オーボエ(一部コール・アングレー)×2,クラリネット(一部バスクラリネット)×2,ファゴット×2
  トランペット×3,ホルン×3,トロンボーン×3,ハープ,ティンパニ,小太鼓,シンバル,弦楽五部

第1楽章:夜明けと旅立ち


Adagio molto e maestoso - Allegro ロ長調 2/2拍子 - 4/4拍子


<MIDIでお題拝借・第35期投稿作品>


 そもそもこの曲、お題から夜明けのイメージ(冒頭の部分)と、木管を中心とした展開の部分が別々に浮かび、互いに関連性はなかったのですが、別々の曲に仕上げる時間が無く、無理やりくっつけてしまったのです。最初は夜明けで良いのですが、後の部分が夜明けとはかけ離れているため、苦心したあげくこんなタイトルを付けてしまいました。もちろんこれは「東方見聞録」と「西遊記」をパクったのですが、どちらともあまり関係はなく・・・・・。この続きも作って、交響組曲「西方見聞録」になれば御の字なのですが、まぁ、あまり期待しないでください。

 タイトルはいい加減ですが、内容はちゃんとしていますよ。特に夜明けのクライマックスへと向かう部分の弦の当て方や、後半部に現れるオーボエの旋律などは、今までの私とは一味違うと思います。

第2楽章:砂漠を行く


Andante grave - Allegro scherzando - Andante grandioso ヘ短調 12/8拍子 - 3/4拍子


<MIDIでお題拝借・第36期投稿作品>


 ↑で期待しないで・・・と言ってた割には早いうちに第2楽章です。都を後にして数日。一行は未知の西域に入った。そこは想像以上に厳しい土地。道らしい道もない、砂と岩だけの乾燥地帯。昼は猛烈に暑く、夜は底冷えする。そして何より水がない。日に日に疲労が蓄積し、水も食糧も尽きかけている。このまま進んで良いのだろうか? でも、もはや引き返せない。最後の町に戻る前に皆、力尽きてしまうだろう。そんな悲壮感が漂う一行の前に、突如緑の森が現れた。心躍らせながらオアシスに辿り着いた一行は、しばし鋭気を養う。しかし、あまり長居もできない。食糧と水を補充すると、再び西へと向かって旅立つ。ゆっくりと、しかし力強い足取りで。

第3楽章:嵐


Allegro con fuoco - Adagio ロ短調 3/4拍子 - 4/4拍子


 ようやく砂漠を越えた一行は、砂漠の西端の町に到着。しかし、眼前には、険しい山岳地帯が立ちはだかる。町の人の話では、ここから川沿いに南に行けば、大きな港町がある。西の山を越えれば光り輝く町があるという。だが、山越えに挑んで帰ってきた者はいないとも。しかし、一行は迷わず山越えを選んだ。そのために苦しい旅をしてきたのだから。意を決して山岳地帯に足を踏み入れた一行。常時風が吹き荒れ、たびたび雷雨に見舞われる。一行は嵐のおさまる僅かな合間を縫って、少しずつ進む。そしてようやく山を越え、霧が晴れたその先に見えたものは・・・。

 壮絶なスケルツォですが、嵐の情景よりも、一行の決意みたいなものを表現してみました。4/4拍子の経過句を経て、第4楽章へとそのまま続きます。

第4楽章:美しい町、そして帰郷


Adagio grazioso - Maestoso - Allegro ホ長調 - ロ長調 4/4拍子


<MIDIでお題拝借・第37期投稿作品>


 山岳地帯を越えるとそこには、豊かな平原が広がっていた。そしてその中心には大きな町があった。確かに美しい町だ。だが、「西方見聞録」に謳われたような光り輝くものはない。都にあるような巨大な宮殿もなければ、黄金の神像もない。「何のためにここまで来たのか?」。一行を虚脱感が襲う。そんな一行だが、町の人たちは温かく迎えてくれ、ここにしばらく逗留した。何とも活気のある町だが、不思議と時間はゆっくりと流れている。皆働き者で、大らかで、人に優しい。一行はすっかりここが気に入ってしまった。しばらくここで暮らすうちに、彼らは気づいたのだった。光り輝いているのは器ではなく、そこに暮らす人々の心なのだと。ずっとここで暮らしたい。しかし、彼らは都に戻ることを決意した。すさんだ都に新しい風を吹きこむために、この美しい町のことを伝えるために。

 最初は適当に始めたものですが、何とか交響組曲としての体裁が整いました。第4楽章の最後に第1楽章の一部を再現することで、全体の統一感を与えるとともに、都に戻る決意も表しました。また、3楽章の終わりから4楽章にかけて、ヴァイオリンソロを加えるなど、今までしなかったことも試してみました。





No.050 ソナタニ長調(2つのブロックフレーテのための)


                   第1楽章:Adagio 4/4拍子
                   第2楽章:Allegro 4/4拍子
                   第3楽章:Alla Siciliana (Largo) 12/8拍子
                   第4楽章:Scherzo (Allegretto) 3/4拍子
                   第5楽章:Gigue (Allegretto) 6/8拍子

 ブロックフレーテとはリコーダー、平たく言えば縦笛のこと。今でこそフルートと言えば横吹のフルートを指しますが、バロック時代は単にフルートと言えばブロックフレーテのことでした。今では学校の教材のように扱われがちですが、私は素朴な味のある響きが大好きです。

 この曲は2つのアルトリコーダーとチェンバロのための作品で、楽器の編成や楽曲の形式はバロック音楽に習ってますが、旋律や和声は現代風・・・ってか、自己流です。まぁ、私にバロック時代の和声法で曲を書けと言っても無理な話だし・・・。

 ゆったりとした第1楽章、軽快な第2楽章、古めかしい第3楽章、諧謔的な第4楽章、弾むような第5楽章という、5つの楽章で構成される、10分ほどの作品です。





No.050b 海辺を吹く風


Alla Siciliana (Largo) ニ長調 12/8拍子


 2つのブロックフレーテのためのソナタ・ニ長調の第3楽章、Alla Siciliana。この旋律は嶋田の傑作の一つだと思います。ってことで、これを2つのフルート、ウッドベース、エレキピアノ、ストリングスの編成にアレンジしました。オリジナルよりもさらにテンポを落とし、穏やかな雰囲気で。タイトルは・・・Alla Sicilianaがシチリア舞曲風という意味なので、そのつながりで何となく付けました。穏やかな風が吹く静かな海辺という感じかな?